安室奈美恵世代は戸惑っている?結婚個人観20年史
2017.9.27

9月20日のNHK「首都圏ネットワーク」が真っ先に速報で伝えた、安室奈美恵さんの引退。1週間ほど経った今でも、各ワイドショーがこぞって引退理由を推測するなど、報道が下火になる気配はありません。

9月20日は安室さんのお誕生日だったのだから、「おめでとう」くらい言ってあげてもいいと思うのですが、おめでとうよりまず「引退理由の真相」を言われる、40歳になったばかりの安室さんの心中やいかに?

さて今回は、いわゆるアムラー世代がおおいに戸惑っているであろう、この20年の世間の結婚観の変遷について見ていきたいと思います。

安室奈美恵世代は戸惑っている?結婚個人観20年史

■20年前はマイナーだったこともろもろ

今から20年前、安室さんが20歳のときは、10歳以上年上の女性と結婚する男性というのは、あまり一般的ではありませんでした。10個以上女性が年上というのがマイナーであるのみならず、おそらく5歳差であっても、「妻が年上」ということじたいがかなりマイナーだったように記憶しています。

現在、年下男子と交際したい(結婚したい)と公言している人は、20年前にタイムマシーンでしゅっと飛んだら、あなたは超マイナーな、世間で生きていきづらい人になるかもしれません。

20代前半で結婚するというのも、一部ではかなりマイナーでした。「大学を卒業したらすぐに結婚したいとか、そんな、ヤンキーみたいなことを言わないでよ」当時はこんなかんじで、ヤンキーに超失礼なことをしれっと言う人がいたのです。

もっとも20年前って、まだまだキャリアウーマンという言葉がもてはやされていたし、キャリアウーマンを夢見る人が多かったのです。理由はおそらく、まだまだバブル景気の余韻があったからでしょう。バブル期は小宮悦子さんに代表されるように、バリバリ働く女性がかっこいいという風潮がかなり濃く、そういう風潮はバブルがはじけてもすぐには、消えてなくならなかった。だからアムラー世代が20代の頃にも、「できる女性=キャリアウーマン=女性のかっこいい生き方」という図式がありました。

実際には、アムラー世代前後の世代は、もろに就職氷河期にぶち当たり(山一證券が倒産した頃)、キャリアウーマンを目指していた女性は資格をとるために大学卒業後、専門学校に通ったり、大学院に通ったり、なんだかバタバタしていた時代だったのです。就職できないからフリーランスになったとなると、「あそこのうちの子は就職負け組」みたいにささやかれていたのです。今から思えばマジかよ! という話です。

■ヘッドフォンで大爆音で安室さんの曲を聴いてきたわたしたちは果たして・・・

安室奈美恵世代は戸惑っている?結婚個人観20年史

キャリアを求めようにも就職氷河期であり、「希望した会社に就職できないから、では結婚をば」と思ったところで、20代前半で結婚したいと言えばヤンキー呼ばわりされてきたのが、現在40歳前後の人たち――20代前半でうまく結婚できた人たちも無論いるはずですが、また、今ではマイナーになりつつある短大を出て就職勝ち組になった現在40歳前後の人だっているはずですが、ざっくりと、かつ個人的に、当時の結婚観を述べるならこんなかんじです。

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ひるがえって現在。20歳そこそこで結婚することは、もはやふつうのことになっているように見受けられます。「できちゃった結婚」は「おめでた婚」と、その呼称が変更されました。結婚前に「できた」というのが、侮蔑から称賛へと大きくその評価を変えました。

キャリアを求める人々はフリーランス(というか個人事業主)として生きる選択肢を、堂々と選択できる時代になりました。フリーランスの会もできれば、はたらくママの会もできました。

だからたとえば、アムラー世代の人のなかには、「わたしはヤンキー呼ばわりされたくなかったから、20歳の頃結婚したかった人と結婚しなかった(する勇気がなかった)。そのまま結婚しないまま40歳になったけど、当時の社会の風潮って、あれはいったいなんだったのだろう。こんなことなら、20歳くらいで結婚しておけばよかったのかもしれない」と、戸惑っている人もいるはず。

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絶頂期に妊娠・出産するなど、「わたしがかっこいいと思うことをやる」と、芸能界の風潮にひたすら挑んできた安室さんと、スターの光と影に翻弄されてきた世間の結婚観。

世間に流され、「それではダメだ、安室奈美恵のようにかっこよく生きたい」と思いつつヘッドフォンで、大爆音で安室さんの音楽を聴き、勇気をもらい、ときに世間にたてつくと「出る杭」として打たれてきたその他大勢のわたしたちは20年後、どんな結婚観を持っているのでしょうか。(ひとみしょう/文筆家)

(愛カツ編集部)

※参考:安室引退は電撃発表だった…幹部数人のみ緊急招集 ほか(日刊スポーツ)